ほんのメモ

本を私なりに解釈したメモ

工学的ストーリー創作入門:構成

ストーリーで最も大切なのはコンフリクト(葛藤、対立)である。コンフリクトを構築するには構成を知らなければならない。構成はコンフリクトをドラマ的な緊迫感にする。構成はストーリーの基盤である。ストーリーの全体をしっかりした構造にするためには、構成を固める必要がある。

四分構成

ストーリーを四つのパートに分け、パートごとに文脈を変えていく。四分構成は、ストーリーのロードマップである。

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パート1設定

ストーリーの最初の20~25%の指名は残りのストーリーのための設定である。最初はフック(つかみ)で読者の関心をひいたあと、「主人公にとってかけがえのないもの」を読者に伝える。 主人公のバックストーリーを利用して、読者に主人公への共感を持ってもらう。主人公の紹介と舞台設定の紹介もパート1で全部済ませる。 パート1が終わるとプロットポイント1で敵を出現させる。また、プロットポイント1の前(または同時)にインサイティングインシデントを作る。インサイティングインシデントとは、物事を引き起こす出来事という意味である。インサイティングインシデントにより、ストーリーに流れが発生する。その流れの意味は、プロットポイント1によって判明する。プロットポイント1はパート2への転機となる。パート1では、緊迫感はあるが、どんな敵に対してどんな戦いをするかは、まだわからない。

パート2反応

パート2で主人公は新しい状況に反応する。主人公は、まだ積極的には行動しない。パート2で主人公は、走り、隠れ、観察し、分析し、見直し、計画し、人材を探す。パート1でしっかり人物紹介や状況説明ができていれば、読者は主人公に感情移入できる。パート2の終わりで主人公は何かに気づき計画を練る。流れが大きく変わる転換点、それが、ミッドポイントである。

パート3攻撃

ミッドポイントを超えたパート3で主人公は、体制を立て直し積極的になる。ミッドポイント、つまり主人公が変わる転機がなければストーリーは平板になってしまう。しっかりとしたミッドポイントがパート3に厚みを持たせる。

パート4解決

パート4では新しい情報はもう出ない。パート4では主人公がいかにゴールを達成するかを書く。ここで主人公は自力で戦い英雄になる。傍観者には決してならない。

転換点の役割

転換点は八個ある。転換点では新しい情報がでて、ストーリーの流れやテンション、危機感が変わる。プロットのひねりはストーリーを活気づけるのでいつ入れてもよい。ただし、主要な転換点は意識して大切にする必要がある。 読者は転換点に気が付かないことも多い。静かな会話やちらりとみえる影、武器、こっそりのぞく視線などかすかなものでも転換点になる。

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転換点を含めた構成は以下のようなものになる。

  • ストーリーの「オープニング」のシーン、あるいはシークエンス
  • 最初の二十ページ以内で読者の関心をつかむ「フック」
  • 流れを引き起こす「インサイティングインシデント」
  • 主人公を反応モードにする「プロットポイント1」
  • 敵対勢力の性質などを思い出させる「ピンチポイント」
  • 主人公を攻撃モードにする「ミッドポイント」
  • 敵対勢力の性質などを再度思い出させる「ピンチポイント2」
  • 主人公を解決に向かわせる「プロットポイント2」
  • 最終の解決シーンまたはシークエンスがある「クライマックス」

パート1「設定」のミッション

パート1には五つのミッションがある。パート1では五つのミッションをすべて完遂するのが重要である。

第一のミッション:強力なフックを仕掛ける
フックは読者の心をつかみ読みたい気持ちにさせるものである。フックの位置は早いほうがよい。フックは最初の三、四シーンまでの間に入れよう。

第二のミッション:主人公の紹介
主人公を早めにストーリーに登場させる。読者は主人公と出会い親しむ必要がある。プロットポイント1で転機が来る前に主人公が大切にしているもの、失いたくないものを描写する。

第三のミッション:危機感を設定する
主人公のなにが危ういかを提示する。読者はまだ理解できないかもしれないが、プロットが進むにつれてその意味が分かってくる。プロットポイント1を成功させるには、主人公にとって「何が死活問題か」をはっきりさせる。

第四のミッション:伏線をはる
プロットポイント1で起きる変化に向けて伏線をはる。伏線とは「後で起きる出来事や、人物に関する事柄を示す記述やほのめかしで、はっきりとしたストーリーポイントとして読者にまだ認識されないもの」である。伏線をどこまではっきり書くかは書き手の自由である。

第五のミッション:始動の準備
プロットポイント1への流れを作る。プロットポイント1が突発的な事故やかすかな変化であっても、その前のストーリーの流れに気を配らなければならない。

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プロットポイント1

プロットポイント1はストーリーで重要な転換点だ。プロットポイント1はパート1とパート2の架け橋である。橋の前までは「設定」で、橋を渡ってからは橋で起こったことの「反応」となる。プロットポイント1の使命はストーリーを「設定」から「反応」モードにシフトさせることにある。プロットポイント1では、主人公の現状や思惑を変える出来事が起こる。主人公はプロットポイント1で起きたことにより、以前にしていなかった何かをしなくてはならなくなる。プロットポイント1が起こす変化は大きい。そこに意味が生まれるからだ。意味があるから主人公が動く(プロットポイント1では主人公の敵対勢力を出すのが望ましい。敵対勢力が現れることにより主人公とのコンフリクトが起こる)。 プロットポイント1が伝えるのは「主人公が真実だと思っていたことは実は真実ではなかったかもしれない」ということである。プロットポイント1では主人公の大切なものが脅かされる。

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パート2「反応」のミッション

パート2のミッションは「主人公のリアクション描き続ける」ことにある。 パート2では主人公の反応を書く。主人公の活躍を描きたくなっても我慢し「試みるが失敗する」くらいに抑える。パート2で描かなければならないことは3つある。

  • 引き下がって立て直す
  • やってみるが失敗する
  • ピンチポイントで敵の力を提示する

パート2のシーンはすべてミッドポイントに向けて作る。

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ミッドポイント

ミッドポイントとは「ストーリーのちょうど真ん中で提示される主人公や読者の体験や理解を変える新情報」である。ミッドポイントによりストーリーの流れが変わり、新たな重みと緊張感がストーリーに加わる。ミッドポイントによって得た新しい認識から新しい決断や態度、行動が生まれる。

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パート3のミッション

パート3のミッションは「主人公が敵対者および主人公の内面の悪魔と戦うところを見せる」ことにある。パート3で主人公は非常に積極的に行動する。その行動が成功するかは分からないが失敗したとしても、主人公は失敗のたびに学んで立ち上がる。

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ピンチポイント

ピンチポイントとは「敵対勢力の性質と予想される結果を示す例、あるいは思い出させる描写」である。ピンチポイントは主人公の目線ではなく、読者が直接体験できるように書く必要がある。ピンチポイントはパート2の中央とパート3の中央に設ける。

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プロットポイント2

プロットポイント2とは「ストーリーで最後に提示される新情報」である。プロットポイント2以後、主人公のアクション以外に新しい状況説明はなくなる。プロットポイント2により主人公に必要な情報はすべて揃い、ストーリーは解決モードにシフトする。

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パート4のミッション

パート4のミッションは、ある条件だけを守って自由に書くことだ。パート4を成功させる条件は新しい情報を出さないことである。情報を出すならあらかじめパート4より前で伏線をはるか、言及しておかなければならない。

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チェックリスト

最後にストーリーに関するチェックリストを示す。ストーリーを書く前、またはストーリーを書いた後にこのチェックリストを使ってストーリーの完成度を上げよう。

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出典元
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著者のブログ記事

工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素

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